ゼロイチ代行


公州交易会に見る、商品選定の未来地図。

 

先日、中国・広州で開催された第138回広州交易会(通称:広交会)に行ってきました。
出展企業は約1万2,000社、ブースは2万5,000を超え、来場した海外バイヤーは延べ15万7,900人。
テーマは「先進製造」。まさに今の中国の“モノづくりの進化”を象徴する展示会でした。

私は今回、仕入代行業者として「次の売れ筋」を探しに行ったのですが、
実際に見てきて感じたのは、「中国製=安い」ではもう通用しない時代が来ているということです。
この記事では、現地で見たリアルをもとに「商品選定の番外編」として、
これからの仕入れ判断に必要な視点を整理してみたいと思います。

■ 「安い中国製」から「賢い中国製」へ

今回の広交会は、ロボット・AI・スマート家電・環境対応など、
“安さ”よりも“賢さ”を競う企業が目立っていました

会場では、サービスロボットや人型ロボット、バイオニックハンド(人工の筋肉を使った手)まで登場し、
多くの海外バイヤーがその場で注文をしていました。
もはや中国メーカーは「低コスト量産国」ではなく、
「技術とスピードを兼ね備えた製造国」に進化しています。

仕入代行の現場でありがちな「とりあえず中国でOEMすれば安い」という発想は、
今後どんどんリスクになります。
安いだけの製品は、競合他社にもすぐ真似され、利益も薄くなります。
これからは「どんな知恵を持った製品か」を基準に選定することも重要です。

■ “カテゴリ”ではなく“解決できる課題”で選ぶ

今回特に印象的だったのは、
「自分たちはどんな課題を解決する企業なのか」を明確にしているメーカーが多かったことです。

たとえば、万宝(Wanbao)という冷蔵庫メーカーは、
「小型冷蔵庫が高温地域で性能を維持できない」という課題に注目し、
熱帯地域向けに高耐熱モデルを開発していました。
この製品が諸国でヒットし、今年は東南アジアとアフリカで売上20%増とのこと。

単に「冷蔵庫メーカー」ではなく、
「暑い国でも壊れない冷蔵庫メーカー」として位置づけているのです。

これは私たちの商品選定にも通じます。
「キッチン用品」「アウトドア用品」といったカテゴリ目線ではなく、
「どんな課題をどんな環境で解決するか」という課題目線で見る。
これが、競合と被らない商品を見つける第一歩だと感じました。

■ “売れるモノ”より“続くモノ”を選ぶ

広交会を歩いていてもう一つ強く感じたのは、
“瞬間的に売れるモノ”よりも“継続してアップデートできるモノ”の方が価値があるということです。

例えば、あるロボットメーカーはAIを使って自社製品の動作を巡回デモしていました。
単に機能を見せるのではなく、「導入後にどんなサポートが受けられるか」まで説明しており、
“買った後も進化する製品”としてブランディングしていました。

私たち仕入代行の立場から見ても、
“流行りモノ”に飛びつくより、
“伸びしろのある素材”を扱う方が長期的な信頼を得られます。
いまは「何を仕入れるか」よりも「どんなメーカーと組むか」が問われる時代です。

■ 展示会が「都市」とつながる時代へ

今回の広交会は、単なる展示会ではなく、
同時に複数の関連イベントが開催されていました。
例えば、雲浮市で行われた「RCEP第3回産業協力大会」や、
「2025年秋・広州国際自動車輸出展」など。

これは“展示会の外”で商談をつなぐ動きが広がっている証拠です。
実際、私は会場で知り合った企業から、
「雲浮でもう一つ小規模展示をやるから見に来てほしい」と誘われました。
もはや広交会は“点”ではなく、“都市規模で回る商談プラットフォーム”になっています。

つまり、これからの仕入れ活動は、
「展示会に行く」ではなく「展示会を中心にした都市エコシステムに入る」感覚が必要です。
この流れを追えるかどうかで、情報鮮度が大きく変わると思います。

まとめ

今回、広交会を歩いて感じたのは、
「未来の確実性」を探すための展示会になっているということです。

どの国も市場が揺れていますが、
製品と技術を持った企業は、景気の波にあまり左右されません。
そして、そうした企業を見抜く目を持つことが、
仕入代行業にとっての最大の武器になると思います。

“安いから仕入れる”ではなく、“確実に続くから選ぶ”。
これが今の時代の商品選定の本質です。

ゆくゆく、ゼロイチを知ってくださったお客様と中国の展示会に行ってみたいものです。

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